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講師

 

『覚えて弾く』ことの危険性!!

   

 私の教室では、 「先生がこの曲を『覚えていいよ』と言うまでは、覚えちゃダメ!」ということになっています。

 

 初めてその曲をレッスンした次の週に「もう、覚えて弾けるようになったよ!!」と得意顔で来た生徒さんに「覚えちゃダメ!」と言うのはとても辛いのですが、なぜ、早くに覚えてしまうのがいけないのか、あなたも考えてみてください。

 

 その前にヒントになる?お話をいくつか・・・

 

 体験レッスンにお見えになった30代の女性。小さい頃から大学生を卒業するまでピアノを習っていたという、結構長いキャリアの持ち主。

「しばらく弾いていないんですけど」と言って、大好きなショパンのワルツの楽譜を楽譜立てに置いて弾き始めましたが、同じところでつっかえて、どうしても先に進めなくなってしまいます・・・

 「なんで、思い出さないの!!」と言って、自分の手を激しく叩きます。(手が可哀想・・・)

 

 プロの演奏家はコンサートでは楽譜を見ないで演奏していますよね。でも、身体感覚で覚えているだけではなく、頭脳で覚えているのです。

 

 楽譜にはドレミだけではなく、リズム、曲の感じを表す言葉、速度を表す言葉や記号、指番号、フレージング(スラーの切れ方・・・歌で言う「息つぎ」)、スタッカート、アクセント、強さの変化など色々なことが書いてあります。それを同時に表現するということは「左脳」と「右脳」が協力して「マルチタスク」を行うということです。

 

 また、最近では「アレクサンダー・テクニーク」、「フェルデンクライス」などを応用し、指だけでなく、手首、肘、肩の使い方、坐骨の真上に脊柱をしっかり立てて演奏に適した姿勢を作ることなどを理屈ではなく、「身体感覚」で捉えて弾くという「解剖学に基づいた演奏法」も知られるようになってきました。(とは言え、町のピアノの先生方で、この指導法を取り入れている方は、まだ、ごく少数です)

 大人の方、お子さんともに、ピアノは「覚えて弾くものだ」と思い込んでいる方が多く、楽譜を読むことの大切さを何度も何度も説明しても、「楽譜を読むのは難しくて面倒だからイヤ」と、拒絶反応を示されます。でも、覚えて弾くのは、短い曲ならばなんとかなりますが、いわゆる「名曲」となると、とても覚えきれません。

 音符は「音楽の文字」です。文字が読めれば、何百ページの本でも読めます。文字が読めることの大切さを考えると、音楽を演奏したい人にとって、楽譜が読めるということがいかに大切か、わかっていただけるのではないでしょうか。

 楽譜は映画の「台本」のようなものです。そして、それを演奏するあなたは演技をする「俳優」です。そして、一度にたくさんの音を出せる「ピアノ」を弾くということは(鍵盤楽器以外に一度にこんなにたくさんの音を出せる楽器は無いですね)、何人もの俳優さんを動かし、ストーリーを映像にしていく「映画監督」です。

 楽譜を見たら、「どんな映画(演奏)にしたいか、イメージが湧いてくる」、それが譜読みの醍醐味なんです!!

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